2018年04月10日

「九十歳まで働く!」(郡山史郎著、ワック株式会社発行)

『九十歳まで働く!』(郡山史郎著、ワック株式会社発行)という本がある。タイトルは正に僕の目標であり、借りて読んでみた。
借りたのは、愛知県産業労働センターウインクあいち。17階に産業労働情報コーナーというフロアがあり、ここに労働支援に関する書籍の貸し出しをしているのだ。
これに従えば、僕は相当厳しい選択をしたことになる。飲食については技術も経験もない領域だ。なかなか刺激的である。
面白かったので興味深かったところを転記しておこう。

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十年も前になるが、会社で、高齢者対応のプロジェクトをやってみた。情報産業を主体としたある団体にお願いして、メンバーに定期的に集まってもらい、企画会議をすることにした。テーマは高齢者の再就職。錚々たる有識者、学識経験者が侃々諤々の議論をした。
一方で、厚生労働省、日本商工会議所、地方自治体の地域活性化担当者などとも連絡を取り合い、実情調査と対応の研究をした。リクルートの研究所にもお願いをして、講義をしてもらった。そして……。どうなったか。
結論として、すべての活動は、何の成果も生まなかった。
いや、生んだかもしれない。それは、「高齢者の再就職に関する、組織的、効果的活動は不可能である」という結論を生み出したからである。

リーマンショックの前のころで、当時、高齢者はある意味で花形だった。
団塊世代(全共闘世代)が定年を迎える。ちゃんと退職金をもらえた高齢者たちを相手にしたビジネスが盛んになる、巨大市場だ、というのである。
それらの多くは破産するか消滅した。政府も予算を組んで情報リテラシーの低い高齢者にPC教室などへの参加を奨励した。これも無駄であった。リクルートの調査でも、四十五歳以上の人に新しいスキルをマスターしてもらうのは不可能だと明確な結論が出ている。高齢者相手の教育は税金の無駄遣いである。
私の友人の一人が、その時、「高齢者ビジネスは決して成功しない」と予言した。
(中略)
なぜ高齢者ビジネスが成り立たないかというと、「高齢者」は、言葉は「一つ」だが、その中身があまりにも多様でありすぎるからだ。ビジネスや制度が成立するのは、ある集団を対象にできる時だけで、ばらつきが多すぎたら、不可能である、という明確な理論である。

「子供」は一様である。「赤ん坊」は必ず襁褓やおもちゃを使うからそれを売る「アカチャンホンポ」も、義務教育としての「小学校」も必然的に成立する。
高齢者には、それが不可能。
同じ還暦、古希でも健康状態は千差万別。見た目も違う。
(以下略)
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なお高齢者に対する戒めとお勧めも述べているのでタイトルを転記しておこう。

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十の戒め

学校に行く
ビジネスを教えることができるのはビジネスマンだけ。理系大学院と海外有名大学のMBA以外は無駄。実践の中で学ぶべき。
資格を取る
ビジネスは金儲け。金儲け能力を判定する資格などない。
語学の勉強をする
45歳過ぎてからの新しい技能の取得は不可能。
ジムに行く
運動は大切。しかし、ジムにいかなくてもできる。ジムに行くお金で本を買ったり、一杯飲めば良い。
本を書く
本を書けば一人歩きして、問題を起こす、恥をかく、恨みを買う。
葬式
行かなくとも陰で祈る。義理を欠いても、礼を欠いても、恥をかいても構わない。あの世ではそのようなことで人を咎める風習はないと思う。
勲章
みんなが喜ぶならともかく、配る側の満足のために配るものはありがたくない。
NPO参加
ビジネスマンは利益を生み出さない活動に参加してはいけない。近所のお手伝いや通学児童のために旗を降るのは大賛成だが、「社会に役立つNPOでございます」というような団体への参加は薦めない。
会社を創る
借金や財産をつぎ込んで事業を起こすのは若い時だけ。
勝負事
賭け、博打は一切。大事なお金を無駄に差し出してはいけない。

十の薦め

図書館
読書の習慣を維持すべし。ビジネス書ではなく、文学、歴史、週刊誌でも。
散歩
歩くのは体に良い。
趣味
楽しくやれることを。ただし、お金がたくさんかかるもの、健康に悪いもの、家にこもるもの、趣味の悪いものはダメ。
おしゃれ
身だしなみは非常に大切。良いものを大事に着て、毎日、ヒゲを剃り、お風呂に入り、肌着をかえる。高齢者は衛生的にだらしなくなりがち。
家事
家事は習慣。毎日一生けんめいに。運動にもなるし、おしゃれにもなる。
病院
行きつけの大病院と近所のお医者さんは必需品。売薬でごまかさずお医者さんに行く。
交際
孤立や孤独は禁物。人間は社会的な動物。

本来、車がなくては過ごせないようなところに住んではいけないし、できるだけ運転しないほうが良いかもしれない。
住まい
集合住宅など、集団生活のできるところが良い。周りと面倒を見合う生活。
仕事
仕事ができるのが一番の幸せ
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Posted by ばる  at 02:20│Comments(0)参考書籍
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